Secret Rose
玄関で待っている間に母からも電話が来たが、祐吾に迎えに来てもらうので、母には来てもらわなくて済んだ。

祐吾が茜の高校に着いた頃には、今までにないほどの雷雨が轟いていた。

「先生おったのに電話出てよかったんか?」

「先生が『はよ出ろ』ってゆーた」

祐吾は“ふーん”と不思議そうな顔をして運転していた。

「そういやさー・・・?」

「ん?」

「電話、なんやったん?」

「あー・・・っと、ちょっと話あってな」

「なになにー?(笑)」

茜は左手をダッシュボードに乗せ、右手は背もたれを押し、上半身を運転席に向け、『どんな話をしてくれるのか』と期待に胸を膨らませ、顔はニヤついていた。

祐吾は顎だけ茜の方を向いている。
もちろん目は注意深く前を向いていた。

車にはバケツをひっくり返したような雨がフロントガラスに流れ、ワイパーは役割を果たしているのか、いないのかわからないくらい、視界が悪かった。
本当に悪かった・・・。

「やばっ!」

「え?!」

祐吾が急にブレーキを踏んだ。
車の中に緊張が走った――

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