愛すべきフレーバー
「やっぱり美味しいなあ……」
彼はスプーンを咥えて、無邪気な笑顔。
彼が食べているのは、チョコチップの入ったチョコレートのフレーバー。チョコレートの好きな彼は、いつも決まってチョコレート系のフレーバーを食べる。
どうして、こんなに美味しそうに食べるんだろう。
スプーンを咥えるたびに目を細めて、彼が嬉しそうに口角を上げる。そんな彼の顔に見惚れてしまって、いつの間にか私の手が止まってしまう。
「ごちそうさま、美味しかった」
食べ終えた彼は、語尾に音符でもついているんじゃないかと思うような弾んだ声。
いけない、私も早く食べなくちゃ。
焦り始めた私をじっと見ていると思ったら、彼がテーブルに肘をついて。ぐいと身を乗り出して、私へと顔を寄せてくる。
そんな間近で見られてたら、恥ずかしくて食べられない。じわじわとこみ上げてくる緊張感が灯した熱は、頬から体中へと広がっていく。