愛すべきフレーバー


彼のいない間に食べてしまおうと、急いでアイスクリームを口へと放り込む。彼の姿を横目で見ながら、急げ急げと。



彼が戻ってきたのは、ちょうど食べ終えて一息吐いたところ。彼が気づいて、にこりと笑う。



「やっと食べ終えた?」

「うん、美味しかった」



うまくいったとほくそ笑む私の隣に彼が立ち、テーブルに布巾を滑らせる。テーブルに置き去りになっていたアイスクリームが、綺麗に姿を消していく。



「ありがとう」



と見上げたら、予想外に彼の顔がすぐ近くにあったから驚いた。



後退る間も無く素早く伸びた彼の手が、私の頬を包んで引き寄せる。



もはや手遅れ。



ぎゅっと目を閉じると同時に、唇に柔らかな感触。重なり合う唇の隙間から流れ込んでくるチョコレートの匂い。



甘い……



さっき、彼が食べたアイスクリームの味。



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