好き、だから抱きしめて




それからはコーヒーカップでぐるぐる回され、お化け屋敷で怖い思いをさせられもうヘトヘトだ。



それでも離されない腕。



そして連れて来られたのは観覧車。狭い空間に
向かい合わせで2人っきり。



腕を背もたれにかけ足を組みジッと外を眺める藤宮。そんな横顔をつい見てしまう私。



会話もないこの空間だけどなぜか嫌じゃなかった。



『…ジロジロ見すぎ』



「えっ!?」



『ま、俺はカッコイイから仕方ねーけど』



「うぇっ。最悪な自意識過剰男」



『は はっ、その調子。お前の強気な言葉が無いと面白くねぇもん』



なんだか上手いこと藤宮の手の中で転がされてる感じ。ちょっとそれがしゃくに触ったけど嬉しい感情の方が大きかった。



「…でも、ありがとう」



こいつの前で初めて素直な言葉を言えたような気がする。それは、今日の藤宮がとても自然な姿に思えたから。



きっとこれが芸能人じゃない素の藤宮なのかも
知れない。そして私達を乗せた観覧車は夕日を浴びながらゆっくりと下りて行った。
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