弟系男子が『弟』をやめた時。
「なんなん、これ。なんなん?」
「雑用だろ」
とりあえず目の前のプリントの束を
ぱらぱらとめくってみる。
不規則にならぶ名前欄の文字。
「この中から同じ人のプリントを
ホッチキスでまとめるんだってさ。」
そう言った眞樹原はもう既に飽きた様子で
高岡ちゃんのきぃきぃ動く椅子に乗って
前後に揺れている。
「じゃあ、永澤はプリント仕分け係な。
んでホッチキスは永澤でいいや。
高岡ちゃんに提出すんのが、永澤。」
「全部私じゃん。」
眞樹原が分担しようとするわけないのに
気づかなかった私は馬鹿だ。
一瞬眞樹原も仕事をやってくれると思った
私は頭がいかれていた。
「永澤おこってる?」
「おこ」
「じゃ、じゃん負けでいいじゃん。
じゃん負けな。」
最初はぐー、と早速腕を出して言う眞樹原。
おぬし、後で痛い目をみるぞ。