クレナイの歌
『…父さん、また転勤決まったんだ』
『そうよ。何も文句は無いでしょう?
はぁ……ったく大変よもう。またあんたの転校先探すの面倒くさいじゃない。成績が良いだけ助かったわ』
『……』
『まったく……あんたがいなければ引っ越しもまだ楽なのにね』
『……そうだね。ごめん全部任せて』
『いいわよもうむこう行っててちょうだい』
目の前で荒々しく前髪をかき上げながらため息を繰り返す母。
最後の言葉に耳を傾けることをせず、俺は自分の部屋に戻った。
もう何も考える事なんてない。
だからしつこく友人と仲を深めようとはしなかった。
そんなことしたって別れが悲しくなるだけだから。
転校なんて慣れている。
今までのようにもう考える事を止めれば良いのだ。
それなのに…。