クレナイの歌
それから泣きやんだ朱里をそっと支え、二人で丘に座った。
泣き疲れた彼女は岸辺の肩に寄りかかる。
少しの沈黙の後、口を開いた。
「何で来たの。もう夜なのに…」
来てくれてありがとうとか、もっと他に聞きたいことがあるはずなのに、皮肉めいた言葉しか出てこなかったのが悔しい。
そんな彼女の言葉の刺々しさを、岸辺はもう気に止めない。受け入れている。
「……君の家に行ってた」
朱里はそっと岸辺の顔を見上げ、また前を向いた。
お母さんに会ったってことだろう。
ここまで自分の事を知られたのは初めてだった。彼女の中で何かがはじけた。
「なんで歌うのか、教えてあげようか……?」
岸辺は返事をせず、ただ黙っている。
彼なりに頷く行為と同じ意味を表していた。
「……大好きな、大好きな親友から貰った歌なの」
ゆっくりと朱里は話を始めた。