クレナイの歌

「……っ」

朱里はいきなり立ち上がると、何も言わず走り去って行った。

ただ虚しい気持ちだけが胸の内を巡る。


やっと彼女が心を開いてくれたのに…。


口角から思わず嗚呼が漏れる。
暗闇の中、一人苦笑した。

ふと、我に返る。


彼女だけ……?


彼女だけじゃない。

自分もなんだ。


だから……だからこんなに別れが初めて辛いんだ。


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