恋色電車



「うん。ありがとう」





むずがゆい空気を破ったのは、神谷さんのその一言。





勇気を振り絞って、





顔を上げて隣にいる彼の顔を覗く。





やっぱり、いつもと同じくキャップがそれを邪魔する。





けれど、しっかり見えた。




困ったように笑うとこ。





その瞬間、私フラれるんだなって思った。




その顔も、返事の始めのその言葉も、




全部全部"あの"フラれるときの感じだなって今更ながらに思った。
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