モン・トレゾール

今日は色々あったから、少し疲れてるのかも。


そう自分に言い聞かせながらも、手にはしっかりコロンを持っていたりする。


彼から貰った香水には、会社用やプライベート用とそれぞれ私なりに用途があって。


その中でも最近のお気に入りは、このコロン。


いつもメインで使っている香水よりもニオイは薄いけど、体温が上がるとつけた時よりもより甘く香ってくれる。


だからよくお風呂上がりに使うんだけど。


……少し、わざとらしいかな?


フルールのお花を模(かたど)った小瓶の蓋を開けると、シュッシュッと二度首筋に吹きかける。


つけた瞬間に肌の表面で蒸発したコロンの下には、朝にスカーフで隠したキスマークの跡がまだくっきり残っていた。


じっくり時間をかけて愛してくれる彼に不満はない。


だけど、前戯が長い分だけ私の方が先にとんじゃうから……時々、本当に最後まで出来ているのか不安になる。


元々そういう人なのかもしれないけど、彼は決して自分本位の抱き方をしない。


特に結婚してからは、あまり強引にされた記憶がない。


子供はまだ要らない、そう彼は言うけど。


誰にも相談してないだけで、実際のところ私は正直焦っていた。
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