モン・トレゾール

―――


「――それでね、あの人凄く失礼なのよ」


「ふーん」


キャリーバックの中身を取り出しながら、私は会社での話を永遠と説明し続ける。


相変わらず反応は薄いものの、少しは機嫌がよくなったのか彼はソファーを隔てた先のPCデスクで溜まっていた仕事を片付けていた。


「……でね。あのね、私……あの服もう着たくないの」


……そうよ。これ以上あの生意気な男にバカにされない為にも、いい加減制服化したこの服をやめるのよ。


今日心に誓ったことを実現すべく、私は反対される覚悟で頑張って口にした。


やりにくくなるからと言って夫婦であることを伏せて欲しいと頼んだ私に、あの服を着るように強要したのはこの人なのだ。


だから、どうにかして……


「そっ、わかった」


「……えっ?」


――なんか、思ったよりアッサリしてない?


私としては思い切って頼み込んだつもりだったのに、この反応には流石に肩透かしを食らわされた。

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