モン・トレゾール
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翌朝、私は久しぶりにあの男と二人っきりで仕事をしなくていいのと普通の服を着ていいという理由から、内心とてもウキウキしていた。
ちょっと失敗しちゃったけど、結果的には彼が一日早く出張から戻ってきて良かった。
と言うのも、昨日のことを考えると、ますますあの男が彼の見てないところで何か攻撃をしかけてくる気がするからで。
「おはよう」
「あっ、おはよ……」
彼はとにかく寝起きが悪い。それに、昨日は随分遅くまで仕事をしていたと思うんだけど……
「なにその服」
上から私を睨むような目。こんな日は絶対逆らっちゃいけないし、ここまで機嫌が悪いと逆に手が付けられない、気がする。
「だって、昨日はもうあの服……着なくていいって言ったでしょ?」
そうよ、いくら凄んだって昨日きちんと説明したし。
「言ってない」
「……そうでしょ、言ってな……ぃ、って!はぁ?」
「そんなこと言ってない」
――言ったわよ!やっぱり聞いてなかったのね。