モン・トレゾール

「ホラ、開いて」


膝の上で拳を作る彼女の手に自分の手を重ねた。


中にこもった力を解いてやると、ゆっくりと彼女の指先が俺の頬へと触れる。


――95%の恥ずかしさと、残り5%の期待


彼女の指先からは、そんな気持ちが伝わってくる。


こんな風にSっぽく彼女の内向的な部分を解放してやると、いつも予想以上のことをしてくる。


俺は、それが楽しくて仕方ない。


たまに、俺が意地悪なことをするとかなんとか言うけど。


俺からしてみたら、コイツのほうがよっぽどSっ気があると思う。


全然と言っていいほどに男心が分かってないくせに、相手の心に刷り込むことが自然に出来てしまうのが怖い。


「……理、ごめんなさい」


考える時間は与えたはずなのに、そう謝る彼女に驚き目を開いた。


視線の先にあるのは、俯き涙を流す彼女の姿に――


もしかしたら、全てを思い出してしまったのではないかと急に胸がざわついた。
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