モン・トレゾール
「ちょっと、聞いてるの!?」
こんな大人しくて守ってあげたくなるような子が好きだったなんて、知らなかった。
だから、私達ダメだったのかもしれないわね。
「えっ? あ、はい。一応聞いてますけど……」
こういう男が居ないと何も出来ないような……あの女みたいなタイプになれって言われたって、私には一生無理だもの。
「全く、バカにされたものだわ」
必要だったのに、どうしても私が出来なかったこと。
――それは、遼に甘えて頼れなかったこと。
年下の男に甘えるなんて、私の性格では出来なかった。
だけど、きっとこの子はそれも容易(たやす)くしてみせるんでしょうね。
「話したくないんでしょ? 私と」
さっきから一度も目を合わそうとしないしね。
「違う、そうじゃなくて……」
ホラ、また遼の方ばかり見て。
彼に甘えて、頼り切って……正直、羨ましい。
「遼、アナタ。付き合う女は選んだ方がいいわよ」
私とは全然真逆のタイプの子。
せめて、このくらいは言わせて貰うわよ。
「……ちょっ、それどういう意味よ」
そう思っていたのに、突然態度が変わったその子を前に少しだけ驚いてしまっている自分がいた。