彼の手
「詩織ちゃんにとってオレの存在は店員さんでしかないかもしれないけど、オレは違うよ」

「それって…」

「──詩織ちゃんが好きなんだよ」


木崎さんが真っ直ぐにあたしを見つめて言う。


「詩織ちゃんの担当になった時から、可愛いと思ってたよ。でも店員が客にそいう関係になっていいものか…って、葛藤があった」

「……」

「そしてモタモタしているうちに、詩織ちゃんには彼氏が出来てしまった。だからあきらめることにした。でも──」

「でも?」

「今日、失恋の話を聞いて正直嬉しくなった。オレはあきらめた振りしてたんだって気付いたよ。新しい彼氏が出来る前に想いを伝えようって決めたんだ」


そんな──…

木崎さんがあたしのことを想ってくれていたなんて。

全く気付きもしなかった。

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