キスにスパイスを、キスをスパイスに
抱き合ったままの状態でしばらく時間が経ったが、沈黙が続いている。掛け流しのお湯が流れていく音だけが辺りには響いていた。この静けさはすごく心地がいい。


「……どこまで俺を煽れば気がすむんだ?」


静寂を破ったのは、洋輔さんのよく通る声。耳元で聞こえた声と彼の言葉に、感情が昂ぶっていくのを感じた。
たまに見たくなるのが、こういう洋輔さんの反応。私の事をちゃんと見てくれてるって感じることの出来る瞬間。


「……って、何を笑ってるんだ。肩…震えてるぞ」


無言のままの私、けれどこの状況が楽しくて、ついつい笑みが零れてしまっていた。声を押し殺していたせいか、肩が震えてしまっていて彼に気づかれてしまった。


仕方ないな。


「だって……なんだか嬉しくて。洋輔さんがそんな顔してくれるのは私だけでしょ?そんなこと考えてたら、嬉しくて、よく分かんないけど可笑しくなってきて」

「今のは絶対に笑う場面じゃないよな?」

「んー、そうかも……?ねぇ、ねぇ、洋輔さん」

「……なんだよ」


彼の背中に回している腕を離すと、今度はしがみつく様に首へと腕を絡めた。そして、不振がる彼をグッと自分の方に引き寄せて、そっと耳元で囁いた。





「……大好き。………愛してる」


あー、今度はどんな反応をくれるんだろう。
< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop