キスにスパイスを、キスをスパイスに
――ザバっ


「……きゃっ」


実際に彼から返ってきた反応は、私の予想を上回るものだった。


彼は私を抱きしめたまま、急に立ち上がった。幸い彼にしがみついていたお陰で、お湯の中に落ちたりする事はなかったけれど、急な出来事につい声を上げてしまっていた。


「奈々……覚悟はあるんだよな?」

「覚悟って?」


今日までの彼の行動と、身体に教えこまれた事が覚悟の意味を明確に示してはいたものの、彼から聞きたくてわざと聞き返していた。


「しらばっくれるなよ。分かっていてやっただろ……お望みどおり、可愛がってやる」


お風呂から出たところで私は彼の腕の中から降ろされてしまった。そして、そのまま腕を引かれ脱衣所へと足早に向かわされた。


彼に掴まれている腕がものすごく熱い。いつからこんな身体になってしまったんだろう。私は彼から与えられる快楽を期待しているらしい。


脱衣所に入ると、バサっと乱暴にタオルを頭からかけられてしまった。そして、力強くごしごしと拭かれている。こんなにも切羽詰ったような彼も新鮮。


そのままタオルを渡されたから、身体は自分で拭いた。目の前の洋輔さんも豪快に……というか物凄く雑にパパッと拭きあげている。


そして私からあっという間にタオルを取り上げて、彼は言う。


「……それくらいで、いいだろ?」


って。少し離れていた距離を詰められて、彼の唇が私のそれへと徐々に近づいてくる。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop