【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)
「………んんっ…!!」
私は目を見開いた。
藍原専務のコロンの香りが鼻を掠め
全身の思考回路が止まりそうになる。
私…今…専務にキスされてる。
触れるだけのキスだけど
彼の柔らかいその唇の感触が
嘘じゃないと教えてくれる。
夢の中で貴方と交わしていたキスより
温かくて優しくて胸がいっぱいになる。
ずっと欲しくて堪らなかった
専務からのキス…。
『…美紅…好きだ。』と
言ってくれた。
…私も専務が…貴方が好き。
胸が段々と熱くなり
嬉しくて涙が一筋頬を伝った。
そっと目を閉じようとした瞬間…。
…あっ…。
大切な事に気づいて
一気に現実に引き戻された。
…彼は既婚者で、私は独身。
今私達がしている事は
浮気…不倫…禁断になる。
『好き』だと言われても
これはしてはいけない事。
棚藤常務とのやり取りや
彼が助けに入ってくれたところ
この部屋に入るところを
誰かに見られているかもしれない。
常務が腹いせに
誰かに話すかもしれない。
今すぐやめないといけない。
専務秘書として彼を守りたい…。
この状況に流されてしまう前にと
私は両手で
彼の胸を押し返そうとした。