【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)

「………。」

意味がわからずに黙ってしまう私に

「…まだ、わからないのか?
どれだけ鈍感なんだ。
俺が今までどんな気持ちでいたか。」

藍原専務は目を一瞬伏せた後

再び開いて私を射抜くように

ジッと見つめた。

「…藍原…専務?」

熱を帯びたような瞳。

その瞳の意味は何?

その言葉の意味は何?

胸がドキドキする。

好きになってはいけない人なのに

心が煽られて期待しそうになる。


「…美紅。」

彼は私の名前を呼ぶと

至近距離まで顔を近づけてきた。

「………!!」

視線が近くなり

私が大好きな形の良い彼の唇が

すぐ目の前にあった。

この唇に私はいつも

夢の中でキスを交わしていた。


「……美紅。」

再び私の名前を呼ぶその声に

キュッと心が掴まれ

そして

「…専務と秘書だけの関係も
理性を保つのも、もう限界だ。
…美紅の心が欲しい。
その艶やかで健康的な唇に
キスをしたい。

絶対棚藤に渡さない…。

……美紅を俺だけのモノにしたい。」


そう言い終えると同時に彼は

『…美紅…好きだ。』と囁いて

私の唇を深く塞ぐようなキスをした。
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