【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)

藍原専務からのキスは

ほんのりワインの香りがして

アルコールで

唇が熱を溜めたようにほんわか温かい。

こうして彼と

夢の中じゃない本当のキスを

交わせる日が来るなんて…。


…あっ、でも。

私は一つ思い出した事があった。

「…あの、藍原専務。」

「…うん?何だ?」

「…菜穂実さんとは…本当に一度も
……キスしなかったんですか?
兄が昨年言ってたんです…。
『藍原専務は既婚者で
専務が奥さんと
ロビーでキスしてたのを
見たって噂を聞いた。
専務は奥さんと仲がいいらしいから
私が専務と食事に行ったら不倫になる。
訴えられても不利になるのは
私だから…。
だから、関わるのはよせって…。』」

いつの間にか私の目から

涙がポロリポロリと溢れた。

兄から聞かされた時

暗闇に突き落とされて

胸が張り裂けそうなほど辛かった。

会いたくても、会えなくなった。

諦めなきゃいけなくても

諦める事も出来なかった…。


すると

『…美紅。』

と、優しく私を呼ぶ声と共に

彼の両手が私の頬を包み込み

親指で涙を拭ってくれた。

そして彼は私の額にキスを落とした。
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