【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)
キスは額や瞼へとおりていき
私の溢れる涙を吸い取ってくれた。
「…しょっぱいな。」
藍原専務は呟いた。
「…美紅…君は全く…。
一人で抱え込まずに
素直に聞いてくれれば良かったんだ。」
「…ごめん…なさ…。」
謝罪を呟く私に
「…謝るな。
俺も…事情があったとは言え
素直に自分の気持ちを美紅に伝えずに
不安にさせていて…悪かった。」
そう言って
“チュッ”
彼は再び触れるだけのキスをする。
「…言っただろ?
『俺は加納さんにキスを拒まれた。』
って…。
確かに、一度だけ彼女と
会社のロビーで会った事はある。
でも、その日は彼女が一足先に
マンションから出て行く日だったから
最後の挨拶に来たんだよ。
……キスなんてしていない。」
彼は私の額に自分の額をくっつけた。
「…それに、美紅は忘れたのか?
俺は君に何度も
『キスしたくなるような唇をしてる。』
って言っただろ?」
と、意地悪そうな笑みを浮かべた。
「…あっ。」
「…思い出した?」
思い出すと恥ずかしくなった。
でも、額がくっついていて
「…逸らすなよ。」
見透かされているようで逸らせない。