【貴方と本当のキスがしたい。】(*ラブコスメ参加作品)
その足音は真っ直ぐに
私の元へと歩み寄って来た。
「…では、また参ります。」
ヘアメイクさんは私達に一礼した後
扉を開けて出て行った。
「…美紅。」
再び私を呼ぶ声に
ゆっくり椅子ごと振り返る。
「…統弥さん。」
目の前には
タキシードに身を包み
息を飲むほどカッコ良い
私の旦那様になったばかりの
藍原統弥専務が立っていた。
今日は私達の結婚式。
2時間前に婚姻届を提出して
私は『藍原美紅』になり
彼も菜穂実さんの時のような
夫婦のフリではなく
きちんと入籍をして
私と本当の夫婦になった。
「…カッコ良い…統弥さん。
タキシード…似合ってます。」
まともに視線を合わせるのが
恥ずかしい私に
「…こっち向けよ。」
統弥さんは上を向かせた。
「…綺麗だ。良く似合ってる。」
そう言って
優しく微笑んでくれた彼に
私はドキドキして
頬がほんのり紅くなった。
「…本当に綺麗だ。」
彼は呟きながら唇に視線を移すと
「…唇もバッチリだな。
さすが、俺の見立てに狂いはない。」
と、口角を上げて自信満々に微笑んだ。