続・心友。~もうひとつの想い~
「もう、泣きなや、悟」
その様子を横から見ていたマリアが、ゆっくりとした声で言った。
「な、泣いてないしっ」
「えーから、あんたもケータイ貸して」
「は?」
悟の返事も待たずに、マリアは彼のポケットからケータイを抜くと、堂前のとなりにしゃがみ込んだ。
「ん。お互い様やからな。あんたも確認しとき。悟が画像をちゃんと消したか、心配やろ?」
「ああ、うん」
堂前はうなずく。
「は? 消したわ、ちゃんとっ」
悟の抗議は無視して、マリアはケータイを堂前にも見えるようにスクロールさせた。
データフォルダにはなんの画像も残されていない。
メモリーカードも空だった。
「何もないってば。万が一にもミスって残ってたらあかんから、フォルダまるごと削除したし」
悟がムスッと言った。
確かに……。
他の画像も何も残されていない。