続・心友。~もうひとつの想い~
「そーや、悟。今からでも藍を追いかけたらどう? せっかく帰れる日やねんし、どっかで待っててもらって合流したらえーやん」
すると、ずっと険しく思いつめていた悟の顔が、パッと明るくなった。
「そーやな。電話してみよっかな」
「ユキにもちゃんと報告しときや。『俺の冷静なる対応のおかげで、無事解決したから』って」
「ごっつイヤミやな、それ」
悟はムスッと言うと、それからマリアの目を見る。
「ありがとう、マリア」
飾らない低い声に、マリアの表情が一瞬揺れて、
それから……優しい笑顔になった。
「はいよ。どーいたしまして」
「マリアは? 帰るやろ?」
「んー、もうちょいここで、この子が立てるようになるまで待っとくわ。失恋のショックで飛び降りでもされたら、後味悪いやろ?」
「えっ」
驚いて堂前を見る悟。
「せーへん、せーへん」
堂前が片手をひらひらさせて追い払うようにすると、悟は気まずそうに、ちょこんと頭を下げた。