淋しいお月様
セイゴさんと会えなくなって、しばらくの時間が経った。

淋しくないといったら、大ウソになってしまうけれど、私は自立した女になろうとこころがけていた。

自分から連絡はせず、ただただ、セイゴさんからの連絡を待った。

その間、母親からお見合いしろと、何度もせっつかれた。

今つきあっている男が、どんなひとか紹介しろ、とまで言われた。

お母さんが納得する相手じゃないと、認めませんからね――とのことだ。

けれど、私の相手がミュージシャンのタクミだということを、母親は信じるだろうか。

母親に会わせれば手っ取り早いんだけれども、セイゴさんは作曲中だし、そもそも親に会わせる

なんて、まるで結婚を前提のおつきあいみたいじゃないか。

母親からの電話を、私はあれこれ言い訳をつけて、遣り過ごしていた。

セイゴさんがいなかったら、お見合いなんて飛びついていたかもしれない。

結婚しちゃえば、相手はいつも家に帰ってくるのだ。

きっと、淋しい思いもなくなるに違いない。

しかも、不安定な派遣OLなんて立場も投げ打ってやりたかった。

けれど、私には、セイゴさんがいる。

会えなくても、私にはセイゴさんしかいないの。

これが、私の出した結論。

お見合いなんかに揺らがない。

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