淋しいお月様
何よ。

私のことを考えてるようで、結局はお母さん、自分のことしか考えてないじゃない。

医者が偉いだなんて、誰が云った?

ミュージシャンだって、立派な職業よ。

ひとに夢や希望を与えて、すばらしい職業よ。

私、例えセイゴさんが売れてないミュージシャンでも、胸を張ってお母さんに紹介できるわ。

一回、帰ってらっしゃい、だなんて……。

絶対、帰るもんですか!

私は、そう胆に決めた。

それでも、セイゴさんからの連絡は途絶えていた。

――静哉の時の、二の舞かな……。

ちょっとそういう気にも、なってきた。

だけど、私はそれでも掃除に料理に仕事に、毎日を頑張った。

いつ、セイゴさんが来てもいいように。

“星羅ちゃん、見違えたね”って、彼にそう褒めてもらう日まで――。
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