淋しいお月様
――なんて考えもよぎったけれど、彼は身なりも綺麗にしてるし、車も持ってるし、ちゃんとしたひとみたい。

ただ、夜の仕事というのが、妙にひっかかる。

まあ、セイゴさんがどんな仕事でも、傍にいてくれるだけで淋しさも和らぐから、私としてはいてくれるとありがたいんだけどね。

すやすやとセイゴさんはすぐ眠りに入ってしまった。

私は12時から始まる仕事の仕度を始めた。

「ああ、お弁当、作ってあるから……」

うわごとのように彼は布団の中から言った。

「お弁当? うわ~、嬉しい」

「喜んでもらえて……よかった……すうすう……」

セイゴさんって、何でもできるひとなんだから。

このまま、主夫になってもらおうかしら、なんてね。

まあ、私が家事できなさすぎなのが問題だけど。

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