お姉ちゃんの憂鬱
「ちょっと待ってて。化粧直してくる」
午後最初の名所を見終わったところでさぁちゃんがそう言った。
確かにこの炎天下の中、汗で化粧も崩れてくるだろう。
ついでにと言ってまどかもさぁちゃんについていくので、あたしもと連なる。
こういうグループ行動の時のトイレのタイミングって難しいよな。
「じゃ、オレちょっと売店で冷たいもん買ってくるわ。さっき見つけたし。直江はここに居ろよ」
さっきから暑い暑いと唸っていたメグ。
そろそろ限界だったようだ。
トイレのある建物の横、日陰になっているベンチに座り「了解です」と直くんが頷いたのを見届けてあたしたちはばらけたんだけど……
「おまたせー…あれ、メグだけ?直くんは?」
「便所じゃねぇの?オレ戻ってきた時にはいなかった」
「じゃあ少し待ってようか」
3人そろってトイレから出ると、そこにはベンチに座りペットボトルを傾けるメグの姿のみ。
了解と言った直くんの姿がない。
「…遅くない?吉岡ちょっと見てきてよ」
「…わかった。行ってくる」
そう言って男子トイレに向かうメグに一抹の不安を覚えた。