お姉ちゃんの憂鬱

「おかげさまで、楽しんでますよ」


「あたしも、すごい楽しい!」


「疲れたけどねー。直江が迷子になるから」


「僕じゃないですよ、ケンくんが迷子だったんです」


「お前が携帯持ってりゃもっとすんなり合流できただろうが」


「それは確かに否めませんが」


「でも、それも含めて楽しかったじゃん?」


「かーちゃんはポジティブだなぁ」


「ま、オレも香奈子といろいろ話せてよかったな」


「あ、吉岡くん何話したの?ペットくんにチクっちゃうぞ」


「なんでだよ。それにチクるならケンのことだろ。あいつお前らが来る前に香奈子の足にしがみついてすりすりしてたんだぞ」


「いや、まず前提としてなんで誠にチクる制度できてんの?」





「……なんて言うか、お前らが楽しかったならそれでいいかと思っている自分がいる。たぶんうちのクラスで一番修学旅行を楽しんでるのはお前らだ」



そういうメガネはあきれた様子で笑っている。

これは御咎めなしってことなんだろうか。



「お前らに何もなかったんなら問題なしだ。一応時間制限にも間に合ったしな。夕飯遅れるなよ」


あたしの頭をポンポンと軽く叩き、エレベーターに乗り込んでしまった胡散臭メガネ。


どうやら帰還もあたしたちがビリだったらしい。

まぁぎりぎり駆け込んだんだもん、そらそうか。



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