Love their
「いや、俺、行くわ」


そう言い残してレイを手で制止しながら里子とは反対の通路に消えた。




1人で座るには余るくらいのテーブルに散乱したナプキンや割り箸をきっちり揃えた。



ふと唇を噛み広がる甘い味でこの待つ時間を流す。




彼に逢う時につければ、どんな反応を私に見せてくれるだろうか。


座席の奥の壁を背もたれに身体を滑らせた。



こうして思い出すのは彼のことばかり。


私を思い出して欲しい。



レイは唇を前歯で軽く噛み舌を滑らせながら甘い香りを拭い取った。



やっぱり私には、この口紅のコンセプトが違うように思う。



一人っきりの空間で舌に残った甘い香りを唾液と一緒に飲み込んだ。

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