Love their
レイは彼の口から吐かれた溜め息混じりの白煙を見つめながら言った。


「そうだね。でも僕の命みたいなものかな」


彼はそう言って白煙を吐きながらフッと視線をレイから下ろした。


「命…」

「大げさかもしれないね。生き甲斐というと違うかもしれないし。自分が生きていく為の責任かな」


「……」


レイは今の仕事にやりがいも感じるし、嫌だと思ったことも無く寧ろ男性と肩を並べて仕事が出来る事に誇りさえ持っていた。


だけど、命とか生き甲斐とか、自分への責任とかまで深く感じた事は無かった。

サトルから聞く話もやれ上司がどうとかそんな愚痴の方が多かった。


レイは理解しようとしても逆に分からなくなってしまいそうだったので敢えて頷くだけにした。


「自分でも良く分かんないよ。ごめんごめん。好きだからかな。ただそれだけ」

彼は考え込むレイに気付いてアハっと軽く笑いながら訂正した。


「難しい話は抜きにして」

彼はそう言ってコロナビールの瓶を持ちレイの視線に向けた。


「再会に乾杯」


彼の発した明るい声に従うようにレイもまた瓶を手に差し出した。


「乾杯」


2人の声が重なり瓶を重ねた音と共に弾けた。
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