Love their
それから、先日屋上で話をした続きのように色々語り合った。


まるで今まで出会えなかった時間をたぐり寄せ、取り戻すかのように互いの話が尽きることはなかった。


聞き慣れない医師の仕事の内容も新鮮さが手伝ってかまるで小学生のように聞き入った。


彼も同じようにレイの仕事の話に真剣に耳を傾けてくれた。


つまんないよね、とレイが話を折ろうとしても彼はもっと聞かせてとじっとレイを見つめてくれた。


永遠にこの時間が続けばいいのに。
話しながら頭の片隅にある想い。


「時間が足りないね」


「本当に」


彼もまた同じ想いをはせてくれていたことが更に目の前に居る彼の存在を大きくした。


そして、足りない時間を大事に共有しあうことで、目の前の彼を抱き締めたい欲求に駆られる。


「レイ…」


「…っはい」


思わず敬語で返事をしてしまう。


名前で呼ばれたのは初めてかもしれない。

いや、気がつかなかっただけかもしれないが、今こうして彼と密着したい気持ちの中で自分を呼んでくれることに敏感に反応していることなのは確かだった。


「レイ、僕は君がどうであろうと君のことが…」

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