Love their
ゆっくりしていっていいよ、と言われたものの。


きっと晩まで居たら引くだろうな、なんて思いながら。


昔、自分がそうだった。


サトルと付き合い始めた頃、残して会社に行ったことがあった。


仕事をして、サトル以外の人と接して、忙しい1日を過ごして帰宅した時にサトルの寛ぐ姿を見て唖然としてしまった。


そう、すっかりサトルのことを忘れてしまっていた。

ゆっくりね…って社交辞令のつもりだったし、そう受け止めてるものだとも決めつけていた。


思わず、朝と変わらないスエット姿のサトルを見て引いてしまった記憶がある。


勿論また逢えて嬉しかった気持ちもあったが、それ以上に萎えてしまった。



レイはようやくソファから身を起こして開いた瓶をキッチンのシンクの隅に置いた。


部屋に戻り丁寧にハンガーに掛けてくれていたスーツワンピースに着替えた。


着慣れたワンピに身を包むと少しだけ気がしっかり持てたようだった。


乱れた羽毛布団を広げてベッドを元通りに直すとその上に脱いだ服を置いた。


昨日はここで…。


甦る記憶。


交わし、漏れる自分の吐息と降り止まなかった雨の音が鮮明に脳裏に浮かぶ。

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