Love their
彼がそれを持っている筈なんて、120パーセントないんだ。




♪……♪…♪♪…


バッグの中の携帯が突然メロディを短く発した。


レイは思わずビクっとなりアルバムを威勢よく閉じてしまった。


メールだ。


不意を突かれたように受信音が響いたので後ろから肩を叩かれたように今している自分の行為を改めて思い知らされた気がした。


勝手に見てしまった罪悪感が重くのしかかりそうで、

レイはそのままアルバムを棚に直した。



あれほど近付いた彼との間に何か別なものが入りこんでいくようだった。


偶然で始まった彼。全てが偶然の糸で繋がれたかのように二人を結びつけた。


何も、全てがそうであって欲しいと思わない。


二人を結びつける偶然は昨日までで。

これからは必然に作っていくものだと思っている。


だから、こんな偶然は絶対に違う。




あの絵はパパのじゃない。



レイは消しても消しても沸き上がる疑問をどうにかしようと携帯を取り出した。

受信したメールをむさぼるようにボタンを早押しして確認する。


メールは会社の後輩の中村からだった。



『ちゃんと上には言いましたよ。ごゆっくり』

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