Love their
レイはサトルを思い出し再び携帯に手を伸ばす。


朝からコールが無いなんてどうしたのだろう。


昨日、自分から手を振りほどいてサトルの元から去って行った癖に…。


レイは少しばから反省しながらコール音を耳に押し当てた。


コール音がどれだけ鳴ったか分からないくらい時間が経ったところで留守電に切り替わる。


残業かな…。


SE―システムエンジニアという仕事を持つサトル。


時間が不規則で深夜や朝方まで終わらないこともしばしばある。


パソコンに疎いレイには大変さがあまり理解していないところがあるが長時間勤務の過酷さは目に余るほどで。

よく土曜日の朝早くに青白く疲れた顔を下げて仕事帰りにそのままレイのベッドに倒れこんで来ることもあった。


本人曰くパソコンいじりが好きだから苦にならないらしいが、レイにはそんな時間があってないような仕事は考えられなかった。


7割方、男性が多い職場らしいが女性もいるという。

初めこそ、オタクじゃね?と陰で笑っていたが今では少し尊敬している。


一度レイのパソコンが急に起動しなくなった時、ウイルスに侵されたらしいが、見ただけで黙々と治してくれた。

人は自分に無いものを持つ人を尊敬する。

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