Love their
何これ…。


中には最近出たばかりのシャドーまで入っていた。


レイはポーチを逆さまにして床の上に全部出した。


どれもレイには見たことも触れたこともない使いかけの化粧品。


私のじゃない。
何よ、これ…。


床に散らばった化粧品を手にしながら里子の顔が浮かぶ。


里子?
…サトル??


後ろを振り返りカーテンの隙間からサトルの姿を見る。


こちらに気付かずテレビを見ている。


かける言葉が見つからなくて再び化粧品に視線を落とした。


空になったポーチの中を再び見た。


ポーチの内側のサイドポケットに指を差し込む。


中には指輪やネックレスが無造作に入っていた。


コロン…


ポーチを持つ指の隙間から何かが落ちた。


床に転がった小さなピアスを見てハッとした。


この赤いピアス…。
ルビーの赤いピアス。


指で摘みマジマジと見つめた。


何で、これが??


それはサトルの病室で見つけたものと同じピアスだった。

レイはピアスを掌に乗せた。


赤く光輝くルビー。


かたわれを失ったものの放つ光は失われていない。



レイは思い出したようにジーンズのポケットに手を入れた。


同じ感触を指に感じる。
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