Love their

里子は飲みかけのビールをあおって私の缶の残りを手に取り中身を確かめながら言った。


「そんなに考えないで、とりあえず電話してみれば？」


里子はそういい残すとたたまれた袋を掴みキッチンに向かった。


彼から貰った番号は自分の携帯に登録せずに手帳に付せんを貼り付けておいたままだった。



そろそろ、ワインいっとく〜？
奥のキッチンから里子がレイに呼びかけた。


「赤ね〜」


レイは赤ワインの希望を里子に投げかけた。


炭酸で軽くアルコールを飲んだ後は濃厚なワインが欲しくなる。


今日は少し酔いたい気分だった。



「オッケー、…気楽に『彼がお世話になりました』とか言ってかけてみたらいいじゃん」


戻って来た里子はそう言うと、両手にワインのボトルとグラスを持ったまま、さっきまで座っていた座椅子のリクライニングを軽く下げた。



「え〜それって何かわざとらしくない？」


電話をかけている自分を想像しながらレイは苦笑いした。


「どっちにせよ、まずは挨拶がてらにそう伝えたら？レイがサトル君の彼女だって知ってることだし」


「言われてみればそうだよね」