誰もしらない世界
それからというもの、報道機関では一度報道されただけで、それ以降その事件に関してはベールに包まれたまま事件は幕を閉じることとなった。

歩はその事件はなかったこととして、翌日から仕事に復帰をすることになる。

歩はいつも通り、ヘアサロンでセットをする。

歩(今日は、巻き髪でおねがいします。)

スタイリスト(かしこまりました。)
ヘアサロンでヘアセットをしていると斜め後ろの席でセットをしている女が昨夜の事件について会話をしている。

女(ねぇ、今日ニュースで取り上げられた火事、私の自宅近くで起こったのよ。夜中帰ってきたら辺り真っ暗でびっくりしちゃったわ。)

スタイリスト(最近、物騒な事件多いですからね、火事になったのが他の家でよかったですね。)

女(そうなのよ、でもね、何やらそこで焼け死んだ人がこの辺りで派手に飲み歩いていた人みたい。私のお店のナンバーワンのお客様だったみたいなのよ…)

そんな会話をしているのが歩の耳に入る。


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