社長に求愛されました
「ごめんなさい……っ。おじさんにもおばさんにもこれ以上ないくらい感謝してるし、それがあっくんと結婚してこのお店を継ぐ事で恩返しできるならって考えたけど……。
どうしても……無理なの……。
その人を傷つける事をしたくないっていうのもあるけど……私が、その人の事をどうしても諦めきれなくて……」
「ちえりちゃん……」
「勝手な事言ってるのは分かってる……っ。
たくさん面倒見てきてもらって、本当はおばさんの言葉に頷くべきだって事も……!
でも……どうしても……。どうしても……っ」
――好きなの。
必死になり、顔を歪めながら話すちえりを、洋子がじっと見つめ……。
ちえりはその瞳にこれから失望の色が広がっていくのを見たくなくて目を伏せる。
そして、ごめんなさい……ともう一度謝罪の言葉を口にした。
今まで洋子がちえりに対して強く望んだ事はない。
進路だって、大学に行かないというちえりの希望を優先してくれたし、他の事に関しても自由を与えてくれていた。
そんな洋子が望んだ歩との縁談話。
それを断る事は、ちえりにとってツラく……篤紀との関係を守りたいという自分の希望を通そうとしている事がわがまま以外には思えなかった。