蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

年の頃は、十六、七才だろうか。淡いブラウンのコート姿の華奢なシルエット。


人目を引く程の、腰まで伸びた自然なウェーブの掛かった、柔らかそうな長い髪。


その髪が、海風に吹かれてサラサラと、軽やかに舞う。


髪の色が金色に輝いて見えるのは、朝日に照らされているからばかりではないようだった。


『こんな時間に、なんで女の子が?』


少し不思議に思いながら見詰める拓郎の視界の中で、少女がゆっくりと振り返る。


瞬間、拓郎は思わず息をのんだ。

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