蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
まだ眠りから目覚めない、薄紫に霞む港の風景。
冬の凍えるような、ぴんと張りつめた空気を切り裂くように、雲の切れ間から漏れるの神々しいまでの朝日が、儚げに佇む少女を染め上げる。
白い頬のなだらかなラインも、その顔立ちも、まだ幼さを感じさせるほどあどけない。
決して、絶世の美女という訳ではなかった。
でも、目が離せない。
今にもその光に溶けて行ってしまいそうな、目を離したら、もう次の瞬間には消えていなくなってしまいそうな危うさ。
それはまるで、鮮烈なイメージを放つ一枚の絵のようだった――。