蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「雪、見たの初めて?」
「はい」
藍は、廊下の手摺りから背伸びをして、手のひらを空に広げた。
フワリ、フワリ。
広げた手のひらの上に、白い花のような淡雪が降り落ちる。
降っては融けるその姿は、どこか儚くて切ない。
藍は、差し延べていた手のひらを、ぎゅっと握りしめた。
「よし! ちょっと遊ぼうか。外に行くから暖かい格好して」
まるでやんちゃ坊主のように、拓郎が『ニカッ』っと笑った。