蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
これだけ感情を素直に顔に出されると、ついつい意地悪したくなる。
この辺のメンタリティは、小学生くらいから進歩しないものなのかも知れない。
「うそうそ、冗談だよ。本当は、若いところ」
「……芝崎さん、私をからかって遊んでませんか?」
「うん。遊んでる」
こんな他愛のない語らいが、なんと楽しいことか。
「もう、いいです」
ニコニコと楽しそうな拓郎を睨み付けて、藍は拗ねようにそっぽを向いた。
その仕草さえも、こんなに愛おしく感じるのは、どうしてなのだろう?
拓郎は、カメラをコタツの天板に置くと、そっぽを向く藍へ歩み寄る。
「きゃっ?」
『ふわり』と拓郎が華奢な身体を抱え上げると、藍は驚いたように小さな悲鳴を上げた。