蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
不意に意識が覚醒し、ハッと目を開けると、見慣れた天井が見えた。
自分の部屋の、LDKの白い天井。
拓郎は一人で、コタツに眠っていた。
一瞬、昨夜の酒盛り自体が夢かと疑ったが、コタツの天板の上に『また、酒盛りしよう♪ 美奈』とメモ書きが残されていたので、どうやら現実の物だったらしい。
今日は、特に仕事は無いので、のんびり出来る。
が、恭一にコピーして貰った、日翔の施設リストを端から当たって見ようと思っていた。
夢に意味があると思うほどロマンチストではないつもりだが、藍が自分を呼んでいるような気がしてじっとして居られないのだ。
シャワーを浴び、コーヒーを胃に流し込んでしっかりと目を覚ますと、身支度を済ませ玄関のドアを開けた。
パサリ――。
と、足下に封筒が落ちた。
白い、封筒。
一瞬脳裏に過ぎる、既視感。
「!?」
拓郎は、慌ててその封筒を拾い上げた。