蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
柏木は軽く一つ息を吐くと、緊張気味に顔を強ばらせる藍の頬をプニッと引っ張って、励ますように穏やかに微笑んだ。
「思いの外、早く待ち人がやっと来たようですよ、姫」
時間が無い今、早々の拓郎の来訪は、喜ばしいものだ。
だが、まだどうなるかは分からない。
真実を知った拓郎が、藍たちの計画に協力してくれるかは、分からないのだ。
最悪、拒絶されて終わり。
そう言うことも考えられる。
でも。
これは、もう決めたこと。
だから、逃げない。
「まずは、私が会って話をするから、藍はここに居なさい。いいね?」
柏木の言葉に、藍は、静かに頷いた。