蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
21 【脱出行1】

「ほう……。さすがに髪の色が同じだと、見分けは付かないだろうな」 

柏木が、腕組みをすると、妙に感心したように呟いた。

そこには、鏡に映し出したような同じ容姿の藍達がいた。

研究所を出て行くのに、日掛 藍になりすます為、藍が髪を黒く染めたのだ。

お互いを見詰めながら、くすくすと笑い合っている。
 
同じ遺伝子を持ち、ほぼ同じ環境で育ったと言うこの二人なのだが、性格は正反対だ。

気性がはっきりして物怖じしない「日掛 藍」に対して、おっとり気の優しい「大沼 藍」。

他人が見れば見分けは付くまいが、例え同じ服装をしていても見分けられる自信が、拓郎にはあった。

それは、柏木も同じだろう。

二人の藍達は、嬉しそうにきゃぁきゃぁ笑い合っている。 





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