蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

だが、確かに柏木の言う通りたぶん他人には見分けは付かないだろうと、拓郎もそう思う。

それがこの脱出計画の要だった。 


まず日掛藍と大沼藍が入れ替わる。

次に拓郎と大沼藍は、このディカル・ルームから出て、その足で正面から研究所を脱出する。

そして一時間ほど山道を下りると、拓郎の車が置いてある場所にでるので、その車でとにかく県外に逃げて、その間に日掛藍は『コールド・スリープ』に入る。

順調に行けば、コールド・スリープの完了まで六時間。

その六時間を逃げ切ることが出来れば、大沼藍は自由になれる。
 
日掛藍が眠りについてしまえば、もう起こすことは出来ない。

そうなれば、クローン体である大沼藍の利用価値は無くなり、もう追われる事もなくなる。



それが、一連の脱出劇の筋書きだった。






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