蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
くるくるくる回る藍の視界に、柏木と拓郎の姿が交互に入ってくる。
だめ。目が回る!
藍が思わずよろけそうになった瞬間、見計らったようにお日掛藍は、両手をパッと放した。
「きゃっ!」
「うわっ!」
遠心力で振り回されて、藍はそのまま拓郎に勢いよくぶつかり、拓郎はバランスを崩して藍を抱えたまま尻餅をついてしまった。
首謀者の日掛藍はと言えば、白い頬をほんのりと上気させて楽しそうに、柏木の顔を覗き込んでいる。
柏木の眉根が「やれやれ」と言うように、微かに顰(しか)められた。