蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

今でも十分に迷惑はかかっている。

だが、捕まったらどうなるのか想像が付かない。

いくら何でも命まで取られる事は無いだろうけど、誘拐罪とかで警察に逮捕させることくらいは平気でやりそうで怖い。

「拓郎」

お願い、私を置いて逃げて――。

藍がそう言おうとした時、拓郎がニコリと笑った。

「藍、こっちだ。脇道にそれるぞ?」

「えっ?」

「逃走ルート、その2。心配ない、こんなこともあろうかと、柏木さんからちゃんと策を授かってきてるよ。要は、コールド・スリープが完了するまでの六時間、捕まらなければいいんだ」

そう言うと拓郎は、ほとんど藍を抱えるようにして、到底道には見えないその『脇道』に足を踏み入れた。



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