蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「あの二人の相似性を、どう思う?」
場所を移した、衣笠個人の部屋での彼の最初の言葉である。
そこは、『簡素な』と言って良いほど、余分な物が何もない部屋だった。
その二十畳の洋間が居間兼書斎で、もう一間十二畳の寝室があるだけだと言う。
入り口を入った正面の窓際に、大きめのデスク。
その手前に応接セットがあり、壁面のほとんどは本で埋まっていた。
――まぁ、自分の部屋と、似たり寄ったりだな。
衣笠に促されて、ブラウンのレザー製のソファーに向かい合って座る。
「相似性って、一卵性の双子じゃないんですか? 多少の色素変位があるようですが」
あそこまで似ていて、普通の姉妹という事はないだろうと思った。
「……彼女たちは、姉妹ですらないんだよ。年齢差は、五ヶ月だ――」
一瞬浩介には、衣笠の言葉の意味が分からなかった。
――姉妹ではない、瓜二つな年齢が五ヶ月差の少女達?
――まさか。